震災から50日経った2011年4月30日、南三陸町歌津。道路はまだ瓦礫に覆われ、避難所の皆さんは不安を抱え、寒さに震えていました。前日に電気が復旧したばかりのところへ、仙台から電子ピアノを持ち込んでのミニコンサート。演奏に伺った庄司美知子のもとへ2人の女の子が寄ってきて言いました。「ピアノを流されたの。またピアノが弾きたいなぁ…。」
何とかあの子たちにピアノを届けられないか・・・という思いが、「被災地へピアノをとどける会」立ち上げのきっかけとなりました。
そして、私たちの活動の原点となったその歌津の民宿・高倉荘にもピアノをお届けすることができて、2012年5月3日、再びコンサートを開きまし
た。メンバーは、1年前と同じ、「とどける会」副委員長の渋谷由美子、バリトン歌手の草刈伸明さんと庄司です。まず、地元の子どもたちがピアノ演奏を披露。町のピアノの先生のお宅にみんな来て練習してきた、そして高倉荘にピアノが来てからは、ここにも来て交代で弾いているそうです。 そして、お伺いした3名が演奏させて頂きました。
あいにくの悪天候、外は大嵐でしたが、部屋の中は子供たちの笑い声、ピアノの音色で和やかな空気に包まれました。一歩踏み出すと、まだ厳しい現実の痕跡が残されたままです。この被災した建物の写真は、昨年ではありません。今年の5月3日に撮影したものです。しかし、少なくとも心の復興は建物や瓦礫の処理に先んじて進んでいかなければならないと思います。来る6月9日、「被災地へピアノをとどける会」は設立1年を迎えます。活動の原点に立ち返る、大切な訪問演奏会となりました。