2013年6月25日火曜日

新聞掲載のお知らせ

6月6日、「被災地へピアノをとどける会」副委員長・吉川和夫が、広島県福山市のリーデンローズにて、「3.11 被災地と音楽」というタイトルで講演させて頂きました。中國新聞が取材してくださり、ネット上にも掲載されています。ぜひご一読ください。

http://www.hiroshimapeacemedia.jp/mediacenter/article.php?story=20130611101950772_ja

2013年6月11日火曜日

活動報告(「被災地へピアノをとどける会」設立2周年を迎えて)

写真は、石巻・大川地区の皆さんによる歌の集まりです。愛知県の「ポケット・オペラ」様がチャリティコンサートの収益で新規購入してくださった電子ピアノを、「被災地へピアノをとどける会」がお手伝いをして、NPO法人「M&P」様にお届けしました。「M&P」代表の佐々木克仁様はプロの音楽家ですが、出身地である石巻・大川地区を元気にするために、仮設住宅で引きこもりがちになる方々を勇気づけるために、この歌の集いを定期的に開催していらっしゃいます。「被災地へピアノをとどける会」からお届けしたピアノは、こんなところでも役立てて頂いています。

さて、本日6月11日は、東日本大震災から2年3か月目の月命日です。「被災地へピアノをとどける会」の設立は2011年6月9日ですから、 2年が経過したことになります。

以下は、2年目の節目を迎えての活動報告です。

〇2011年6月に活動を開始して以来、320台を超えるピアノ、電子ピアノ等を被災地へお届して参りました。学校や教育機関、公共施設等へ約150ヶ所、個人へ約140ヶ所です。

〇全国から使われなくなったピアノをお預かりして、仙台の倉庫で整備、調律してお届けします。これから何年も使っていただくことになる楽器ですから、状態の悪いものをお届けするわけにはいきません。製造番号を限定させて頂き、可能な限り品質を保証できるもののみお預かりさせて頂きます。学校、公共施設への寄贈を優先的に考えておりますが、個人の方にもお届けしています。

〇「被災地へピアノをとどける会」はNPOではなく、専従の職員はおりません。メンバー全員がプロの音楽家、または音楽関係の仕事に就いており、本来の仕事の傍ら活動にあたっています。郵便物等の発送は、ボランティアチームの手を借りながら行います。もちろん、実行委員、事務スタッフは全員無給です。

〇学校や教育機関のピアノの需要は、とりあえず落ち着いた模様ですが、来春あるいはそれより後に予定されている新校舎完成時に寄贈するお約束を交わしている学校もあります。また、津波とは無縁だった内陸部でも、実は深刻な被害があったことが明らかになってきました。建物の被害は重大ではないが、元々古かったピアノが激しい揺れにさらされて修理不能に陥っているケースも多数あります。「被災地」とは、津波によって流失した地域のみを意味するものではないと私たちは考えています。

〇個人の方からの支援希望は続いています。住環境が整備され、生活が落ち着きを取戻してきたことから、一度は諦めていたピアノを再び弾きたいというお申し出が増えてきました。小学生の方からは、「家とともにピアノも失って、もうやめようかと考えたりもしましたが、学校のピアノを弾き、積極的に伴奏の係になったりしてがんばってきました。」などというお手紙を頂きます。しかし、津波の被害が酷かった地域の子どもたちは、習っていたピアノを再び勉強したくても、仮設住宅では断念せざるを得ません。電子ピアノならば音の問題、住まいの床の強度の問題がクリアできるということで、電子ピアノのご希望も多く頂きます。電子ピアノは、会で新規購入してお届けします(古い電子ピアノを寄贈したいというお申し出も頂きますが、年を経た電子ピアノは修理が必要になった時、部品が揃わないのです)。いずれにしても、親御さんや音楽教室の先生からの御礼のお手紙やメールに、子どもさんの表情が変わった、明るくなったと書かれることが多くなってきました。これは、私たちの活動にとって大きな励みです。

〇ピアノを囲んで地域の皆さんが集まれるような場所にも、寄贈してくださった方のお許しを得てお届けしています(お預かりしたピアノについては、お届け先が内定した段階で、寄贈してくださった方に必ずご報告をして、ご許可を得てからお届けします)。仮設住宅の集会所やお店のスペースなどでは、ピアノをお届けしたことによって、訪問音楽会や、地域の人たちが集まって歌を歌う集いなどが開かれるようになりました。震災前から、さまざまな場所にピアノを囲んで大勢の人たちが集まっていたし、これからも集まりたいと考えている人が多いことがよくわかります。「被災地へピアノをお届けする」のは、被災地域全体の音楽環境や教育環境の整備、底上げに寄与することに他ならないのです。

〇お届け先からご要望があれば、贈呈式演奏に伺います。そんな時、私たちの活動は単にピアノという「ハード」だけをお届けしているのではない、ピアノとともに音楽という「ソフト」をお届けすることに直結していると気づかされます。贈呈式演奏の他に、東日本復興応援プロジェクトの一環として東京・銀座で催されていた「数寄屋橋音楽会」や、仙台中央音楽センター主催「私の心のふるさと」との共催により、東京、仙台、気仙沼で音楽会を開催してきました。その際には、活動報告の時間を設けています。活動を通して見える現状をお話しして、非被災地ではさらなる支援を呼びかけ、被災地では支援希望を募る機会にしています。また、被災しながら努力している若い音楽家たちに演奏の場を設えることも、これから「被災地へピアノをとどける会」が担うべき大切な活動のひとつと考えます。

〇私どもの活動に、特定の企業、組織、団体等の後ろ盾は一切ありません。ピアノの調整・運搬費は、すべて個人的、あるいは組織的なご寄付、演奏会のチケット収益や募金箱設置等によるご寄付をお預かりしてまかなってきました。海外からのお申し出も頂いています。また、ピアノを寄贈して頂ける方には、調整・運搬費の一部として、全国一律3万円のご寄付をお願いしています。しかし、ピアノをお預かりしてからお届けするまでには、1台につき15~17万円程度の経費がかかります。電子ピアノの購入費用も必要です。前述のように、来春以降に支援を希望している学校・施設がありますし、支援を希望される個人の方はこれからも出てくるでしょう。今後もピアノのお届けを続けるための資金を確保しなければなりません。 被災地に「風化」という言葉はありません。これまでのご支援に感謝いたしますとともに、今後とも引き続きのご支援をお願い申し上げます。

寄付金のお振込み先
<郵便振替>口座番号 02280-5-110142  加入者名 被災地へピアノをとどける会

<銀行振込>
ゆうちょ銀行  二二九支店  当座 No.0110142  口座名義 被災地へピアノをとどける会
三井住友銀行  仙台支店   普通 No.1753200  口座名義 被災地へピアノをとどける会